第44回日本アカデミー賞最優秀作品賞&最優秀男優賞受賞作

©日本アカデミー賞協会
2020年、新型コロナウイルスにより多くの映画館は来場者を制限したり、休館を余儀なくされたりしました。
そんななか、『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』が歴代興行収入ランキングを塗り替えるといった話題が秋以降は集中しましたが、その影で話題になっていたのが草彅剛さん主演の『ミッドナイトスワン』でした。
テレビなどでの宣伝が全くない状態で、上映館数もとても少ないスタートでした。
Youtubeでの15分に渡る予告動画や、SNSを中心に話題になり、一部では追いスワンと呼ばれるリピーターを多数生み出したミッドナイトスワンが、第44回日本アカデミー賞の最優秀作品賞と最優秀主演男優賞を受賞したことで多くの注目を集めることとなりました。
予告動画は様々な長さのものがありますので、色々と比べながらご覧になってみてください。
草彅剛がトランスジェンダー!ミッドナイトスワンの魅力って?
ミッドナイトスワンですが、『女性として生きる凪沙と、親から虐待されてきた少女・一果。孤独な二人が寄り添う、世界で一番美しいラブストーリー。』と公式が謳っていますが、男女の恋愛ものではありません。
草彅剛さん演じる凪沙は、トランスジェンダーとして生きています。
新宿にあるニューハーフのショーパブで働く凪沙。
そこに親から育児放棄された親戚の子・一果を預かることになりました。
一果はずっとどうしようもない母親のもとで肩身狭く生活してきたので、自分の感情を表に出すことが出来ない子。
それを凪沙は疎ましく思いながらも、一緒に生活をしている中で様々な出来事があり、二人の関係性は徐々に変化していきます。
一果と一緒にいることで、凪沙はずっと女性でない自分の身体に対しての辛い感情を持っていましたが、女性がというより母親になりたいという思いが強くなっていきます。
本当の親子ではないけれど、もっと別の絆で結ばれた二人はどうなっていくのか…
凪沙や一果を取り巻く人々(特に瑞貴やりん)の不安定さや、癒やしポイントの実花先生なども見どころたっぷりです。
そして何より、バレエの映像と音楽が素晴らしいです。
バレエシーンは映像の美しさと一果のきれいなラインに、我を忘れるほど見惚れます。
よく、草彅剛が完全に凪沙というようなコメントを見かけますが、正にその通りです。
トランスジェンダーという難役を、仕草のひとつひとつとっても完全にそのものにしていて、その感情の起伏や行き場のない思いなどを見事に表現されています。
途中から、短い髪の男性の姿で一果に寄り添う姿もあるのですが、その姿ですら完全に凪沙。
そして、最後の方ではとてもセンセーショナルな、目を覆いたくなるような映像もあり、この役をよく演じたよね!という思いでいっぱいになります。
映画を観られていない方も大勢いらっしゃると思うので、あまり深く内容には触れませんが、2時間という映画だけだとちょっと内容として物足りなさを感じられる方も多かったりします。
内田監督が書いた原作が文庫本で出ていますので、映画を見る前でも後でも読んでおくことで、物足りなさは完全に補足することが出来ます。
また、映画ではそこまで深く取り扱われなかった瑞貴のその後や、一果がなぜバレエだったのかなども本で全て完結することが出来ます。
Youtubeの15分動画だけでも相当なネタバレをされているのかと思いきや、そんなこと全くないのもすごいんですよね。
特にりんのエピソードはかなり衝撃的で、観た人の多くの心を締め付けるような出来事なのに、Youtubeではりんはほぼ出てきません。
バレエ経験者でなくとも、なにかを熱心にしていた人、挫折経験がある人、親との距離を感じていた人には響いてやまないりんの存在。
東京に来てすぐの一果を救ったのは、凪沙ではなくりんなので、彼女の存在なしではミッドナイトスワンは語れません。
映画館に行けない方のために!アマゾンプライムで配信開始!
ミッドナイトスワンですが、まだ上映中の作品ではあるのですが、公式のみで予約受注の形でDVD&Blu-rayの販売が3月に行われました。
数に限りのあるものだったので、2021年5月末現在、注文することは出来ません。
今後発売される可能性はもちろんあると思うのですが、少なくとも映画館での上映が全て終わってからになるのではないかと思われます。
しかしながら、このような社会的状況下ですので、映画館へ行くことをためらっていらっしゃる方も大勢いると思います。
観たくても観られない人、DVD&Blu-rayを手に入れられなかった方のために、アマゾンプライムでレンタル配信が始まりました!
アマゾンプライムなら、観たい時におうちでゆっくり楽しむことが出来るので、ぜひ今年の日本アカデミー賞最優秀作品賞&主演男優賞のミッドナイトスワンを楽しんでみてください。
ジェンダー問題は、センセーショナルでトピックとして上げやすいコンテンツではあるのですが、触れにくい問題でもあります。
ミッドナイトスワンは、物議を醸す可能性の高いこの問題を、このような映画という形で、登場人物の繊細な心理描写を上手に入れ込んで表現されている本当に素晴らしい作品です。
アマゾンプライムで配信されている今の機会に是非お楽しみください。